焼きもちおじさん

知人にドイツ出身の美女がいる。
最初にお会いしたのは10年くらい前だった。
顔が小さくて身長は175cm。
青い瞳に長いマツゲ、白い肌。

まさにお人形のような人で、職業は当然、モデルさん。
彼女は20歳のときに35歳の人と結婚するために来日した。
その男性はドイツに留学中、彼女に恋をして猛アプローチ。
想いに応えてくれるなら、日本で会おうと言い残してきたのがプロポーズだったそうだ。
日本に憧れ、文化や日本語を勉強していた彼女はウキウキしながら来日して結婚。
美女と野獣と冷やかされた新郎新婦は幸せの絶頂だった。
しかし、彼の実家で同居するようになってから、彼女の幸せはゆっくりと色あせていくのだった。
彼の実家は四国地方の田舎町。
白い肌で金髪、青い瞳の彼女は都会に居ても目を引く美人だが、田んぼだらけの田舎ではなおさら目立った。
彼女は故郷のドイツも田舎町に住んでいたが、閉鎖的でよそ者に警戒心が強い日本の田舎に戸惑う。
ましてや、旦那がとにかく「ヤキモチおじさん」で、モデルの仕事で松山などの街中に出るのをたいそう嫌がった。
結局彼女は田舎の大きな家で専業主婦となったが、家事をやりきっても暇な時間が出来てしまう。
ぼーっとしているとお姑に「できない嫁」だと言われた。
昔の嫁は暇な時間が出来たら機織りやカゴ編みをしていたのが当たり前だったのに、と古すぎる習慣のことを持ち出され、それをしない嫁に嫌みを浴びせていたようだ。
外に散歩に出れば、田んぼの真ん中に白人美女で目立つ風貌だけにジロジロと見られる。
松山には行けない。
ストレスが溜まりに溜まり、それから5年ほど経ち、彼女は離婚して国に帰ったそうだ。
見た目だけでなく、優しくて思いやりがある内面だったから、幸せになっていてほしいと切に願う。

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